しかし、昔は剰余が出たら、それでもって大きいお祭をしたり、大きい寺院を造ったり、大きな城を築いたりして消費してしまっていたので、経済そのものは発展していません。
近代になると、剰余が出てきたら、それをさらに再投資に向けていくという形で、絶えず経済の拡大をはかりました。
これに産業革命といわれる革命的な技術革新が結びついたのです。
こうして近代は経済的には非常に進歩した時代、物質生産の水準が格段に上がった時代となったのです。
当然、人々の物質生活、経済生活も驚異的に向上してきました。
それがいかに凄まじいものであったかは、2、3の事例を考えれば理解できます。
ヨーロッパでは19世紀の100年間を通して人口が3倍になりました。
日本では明治維新以来、今日まで150年ほどですが、維新のころの人口は、3300万人程度で、今は1億2000万人ですから3倍以上、4倍近くになっているのです。
これは大変なことです。
近代になって人は急に子供を産みはじめたのではありません。
昔も、というより昔の方がはるかに多く産んでいたのです。
多く産んではいましたが、多く死んでいたということです。
イギリスで産業革命が始まろうとする18世紀後半のころは、子供は一家に20人くらい生まれあすが、そのうち育つのは3人くらいだったといいます。
ほとんどが死んでいたのです。
日本でも江戸時代の300年間を通して人口はほとんど増えていません。
これは出産が少なかったのではなく、多く産んでもほとんど死んだか、あるいは殺したということなのです。
理由は、衛生や医療の問題もあるでようが、決定的には経済力がなかったからなのです。
人類の歴史がはじまって何万年の間、その間に増え続けた人間の3倍あまりが100年間の間に増えたということは、大変なことだといわなければなりません。